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特集「M&Aを正しく活用する時代」

第8講 黒字が出ている会社のオーナー社長が、M&Aで金持ちになるのは何故か? ~本当の金持ちになるヒトは、所得税の構造に潜む、カラクリを利用している~

事業承継で仕方なくM&Aを利用? ~M&Aの本当の使い方を知らない日本人経営者~

日本で、今、最も多い中小企業のM&Aの活用は、事業承継者不在を理由とするステージです。

自分の子供が後を継がない、従業員がいて会社を閉じられない、という後継者問題の解決策として、M&Aによる大企業への事業承継を行い、オーナーが抜けて、会社を存続させる方法です。

言ってみれば、「仕方がないから、M&A」という消極的な選択肢として、今のところ、M&Aは使われています。

しかし、M&Aという手法は、決して売り側のオーナー社長にとって、このように「仕方がないから行う」べきものではありません。

日本においても、売り手と買い手が、ともに成功できるステージがあります。

このコンテンツでは、そのようなステージの話をして参ります。

役員報酬の罠~給与所得の世界~

今回は、売り側のオーナー社長側が戦略的に、M&Aを行うことで大きなメリットを齎すことを、税の観点から書いて参りたいと思います。

日本の給与所得税は、世界でも非常に高い累進課税方式が採用されています。累進課税とは、所得が高くなるに従って、所得税率をあげる方式です。

世界最高の経済大国であるアメリカは、所得税の最高税率が37%です。高所得者が支持層である共和党は、この税率を引き下げることを党の政策に掲げています。

これに対して、日本の最高税率は、国税45%、地方税10%の、合計55%です。

つまり、半分以上が税金でとられてしまう国です。

この累進課税は、高所得者から所得税で税金をとり、これを社会保障の形で、低所得者に再配分するための仕組みです。つまり、日本は暮らしがたたないほど貧乏になりにくい優しい国ですが、金持ちにはなりにくい国です。

高所得者のサラリーマンが、この税制を回避することは不可能です。

しかし、オーナー会社の社長の場合、会社を利用すればこの累進課税の税制を回避することができます。

中小企業の場合、法人税は、国と地方の税金をあわせて、約30%です。しかも、法人税の場合、所得税と比較して、損金の参入の点で大きなメリットもあります。個人の所得(社長の場合、役員報酬)を生活費程度に抑えて、税率を低く抑え、その分のお金を、可能な限り法人の損金で計上して、残りを税率が低い法人の利益で計上すれば、世界一高い日本の所得税の累進課税を回避することができます。

M&Aで受け取る所得は、譲渡所得になる

では、このような形で会社に残した利益を、どうやってオーナー社長は、自分の所得の低い税率でモノにすることができるのでしょうか?

結論から言えば、給与所得でなく、譲渡所得の形に変えて、会社の純資産を自分の利益に変えればよいのです。この最良の方法が、成長企業M&Aなのです。

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強い成長を目指す企業(成長企業)と、投資によってスピードある新規事業の参入を目指す企業(投資企業)の、資本提携をM&Aの手法で実現する成長企業M&A

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成長企業M&Aとは、成長期にあるベンチャー企業や中小企業と投資企業を仲介し、飛躍的成長を遂げるために、M&Aという手法で資本提携関係を結ぶ手法です。

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会社で出した利益は、給与所得でなく、譲渡所得で受け取れ!

何故、成長企業M&Aの方法を使うと、会社の純資産で貯めた利益を、オーナー社長の個人の所得に、低い税率で移転することができるのでしょうか?

その仕組みをご説明しましょう。

先ほど述べたように、日本の給与所得税は、累進課税の方式を採用します。その最高税率は、45%(加えて、地方住民税が10%で、55%)です。

一方、株式の売却による譲渡所得税は、累進課税の適用がなく、一律地方税を含めて20%です。

つまり、オーナー社長は、会社で出した利益を自分に移転するのに、給与や退職金という方法を使ってしまった場合、その55%を税金で納税する必要があります。しかし、一方、その利益を会社の純資産として蓄えて、それを株式の形で第三者に売却すれば、20%の税金で済んでしまいます。

オーナー社長が、会社の利益をサラリーマンと同じ、役員報酬という給与所得で受け取る限り、いくら会社で稼いでも、高所得者の所得を再配分する累進課税制度に阻まれて、個人資産を大きく残すことは、脱税という犯罪行為をしない限りできません。

しかし、会社の利益を、株式の形で第三者に売却すれば、累進課税の適用がない譲渡所得税率を利用することができますから、大きく税負担を下げて、会社資産を個人資産に移すことができるのです。

日本では、所得1億円を超える人たちが、譲渡所得で納税する率が高くなるため、税金が大きく減っていきます。これが、「1億円の壁」と言われる事情です。

M&Aは、オーナー経営者が「最後に笑う」ことができる、最大の「秘密兵器」なのです。

M&A諸経費は、補助金も活用できる

一方、買い側はどうでしょうか?

M&Aは、会社を売り抜け、または投資を受ける側(「売り側」と称します。)には、アドバイザリー会社に支払う費用以外には、費用はかかりません。

URVグローバルグループのM&Aアドバイザリー事業では、アドバイザリー費用は成功報酬だけなので、投資を受ける費用から経費を支払えばよいため、それ以外に必要な経費はありません。

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一方、投資する側(「買い側」と称します。)には、基本合意契約以降に行う、デューデリジャンス費用(「DD」と称します。)が、かかります。

DDをどこまで行うかは、買い側の方針次第です。しかし、M&Aは、買い側の成功率が30%という、なかなか厳しい現実のあるものです。そして、買い側のその後の企業グループの成長戦略の命運を決める非常に重要な意思決定でもあります。

売り側企業の内情が、買った後に判明し、巨額な損失を買い側に与えてしまう事態が頻発するのが、M&Aの世界です。

これを防止するため、基本合意後、最終決定の前に、買い側は売り側に介入して、その内情を徹底的にリサーチし丸裸にして、その結果で、投資の意思決定を行うのが、健全な方法です。

そこで、買い側は、多額な費用をDDにかけ、専門家である会計監査法人や法律事務所をいれ、更に自社内部にビジネス検証チームを発足させて、財務DD・コンプライアンスDD・ビジネスDDを実施します。

URVグローバルグループのM&Aアドバイザリー事業では、買い側のだけにつくアドバイザリーの立場で、経営コンサルティング会社として、ビジネスDDを買い側のチームと共同で実施するサービスも行っています。

これらの費用は膨大で、なかなか買い側は費用を充分に負担できません。

そこで、このようなことに備える補助金が、今は使えます。URVグローバルグループのM&Aアドバイザリー事業は、中小企業庁のM&A支援機関に登録されており、成功報酬手数料をこの補助金で賄っていただくことも可能です。

買い側にとっても、損失を回避するための、膨大なDDコストを、いまは補助金を使って軽減することが可能になっています。

会社を成長企業に育て、M&Aで売り抜ける

このように、M&Aは、税制からも会社の利益をオーナー社長が自分の所得に振り替えるのに有利な方法です。買い側にも、補助金が利用でき、大きなリスクを回避することができますから、投資も更に活発になっていくでしょう。

会社を成長企業に育て、利益を純資産につみ、それを最後にM&Aで買い側に売り抜ける方法は、オーナー社長の手元に大きな資金を残すことができる最良の方法です。

それは、オーナー社長が、税率の高い退職金で受け取るよりも、ずっと戦略的に賢い方法であり、従業員の雇用の場を残す社会的な価値も高い方法です。

このようなM&Aは、今、日本企業でも、次第に利用される件数が多くなってきています。

続く

本稿の著者

松本 尚典
URVグローバルグループ 最高経営責任者 兼 CEO
株式会社URVプランニングサポーターズ代表取締役 兼 エグゼクティブコンサルタント

松本 尚典

  • 米国公認会計士
  • 一般財団法人M&Aアドバイザー協会認定M&Aアドバイザー

日本の大手銀行から、ニューヨーク ウオール街での金融系コンサルタント業務を経験した後、日本に帰国し、国内の大手企業数社の役員の歴任。この間、M&A大国アメリカで、数多くのクロスボーダーM&Aや、TOB案件を纏めあげ、そしてまた、日本でも多くのM&A案件を投資企業側の責任者として纏めた、豊富なM&A実務経験を有する。
2015年にURVグローバルグループのホールディングス会社で、経営支援事業を本業とする、株式会社URVプランニングサポーターズ(松本尚典が100%株主、代表取締役)を設立。多くの中小企業の経営者の経営顧問や監査役として、中小企業の成長戦略に関わる。
こうした業務の中で、投資企業側の事情と、投資を受ける中小企業側の事情の双方に精通する知識と経験を活かし、成長企業への投資案件に特化した、成長企業M&A事業に進出する。

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強い成長を目指す企業(成長企業)と、投資によってスピードある新規事業の参入を目指す企業(投資企業)の、資本提携をM&Aの手法で実現する成長企業M&A

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「M&Aを正しく活用する時代」過去の記事はこちら

第1講 世界のM&Aを知ろう

第2講 今、うちの会社はいくらなの?~企業のバリュエーション~

第3講 株主が複数いる企業が行う、M&Aへの対策 ~スクイズアウト~

第4講 M&A買い側企業担当者の心得

第5講 株式譲渡と事業譲渡、その戦略的な活用法

第6講 会社の資金がショートしてから、慌てて調達に動くと大変なことになる!

第7講 M&Aでは、何故PL上の利益よりも、EBITDAを重視するのか?

第8講 黒字が出ている会社のオーナー社長が、M&Aで金持ちになるのは何故か? ~本当の金持ちになるヒトは、所得税の構造に潜む、カラクリを利用している~

第9講 M&Aの世界は、なぜあらゆるところが秘密のベールに包まれているのか?

第10講 事業譲渡をする会社はここに気を付けよう ~そのメリットとデメリット~

第11講 M&Aを考えるすべてのヒトが知らなければならない天王山 デューデリジェンス

第12講 M&Aで会社を売る場合、セカンドオピニオンを求めよう

第13講 M&Aの仲介 専任と非専任 どっちが有利?

第14講 中国企業や中国資本のM&Aや投資を恐れず、活用しよう

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