記事の筆者
松本 尚典
Yoshinori Matsumoto
- URVグローバルグループ 最高経営責任者 兼 CEO
- 株式会社URVテクノインテリジェンス 代表取締役社長
- モデル芸能事務所DRISAKU®︎ エグゼクティブプロデューサー
目次
UAから、GA4への移行
2023年7月。Googleは、これまで無償配布をしてきた、UA(Universal Analytics)のアービスを停止し、GA4(Google Analytics 4)に移行をしました。
UAは、2012年からGoogleが無償配布をしてきましたので、私たちは、これに慣れ親しんで、10年以上。
今更、これを変えると言われても・・・、
という、怨嗟の声が世界にあふれる中、既に、UAは、廃止されてしまいました。
そして、GA4を使ってみた多くのマーケッターから、
「使いづらい」
という声が溢れています。
UAのページビューと、GA4の表示回数は、そもそも、数があわない
そして、何よりも、困るのが、UAのPV(ページビュー)に相当する、GA4の表示回数が、一致しないという点。多くのマーケッターが、長年にわたって、アクセス実績の基礎に置いてきた、PVという指標が、表示回数とデーターの基礎が変わってしまう、ということに、ショックを受けているのはないでしょうか。
僕も、数か月間にわたり、様々な方法で、GA4の表示回数を、UAのPVに一致させようと試行を繰り返して参りましたが、やはり、この両者の数値は一致しません。
UAの歴史
UA(Universal Analytics)は、日本では、Googleが開発したものと考えている方も多いのではないでしょうか?
実は、全く違います。
僕が、当時、ウオール街の金融系経営コンサルタントとして活動していたころ、まだ設立して10年もたっていないGoogleは、Urchin softwareという企業を買収しました。UAは、この買収で、Googleが手に入れたものです。
Urchin softwareは、それまで、サイトのアクセス解析のツールを、3バージョンまでアップさせており、UAは、そのバージョン3にあたっていて、これを有料サービスとしてマーケットに提供していました。
Googleは、2012年に、これを無料として、世界に配布を開始したのです。これが、UAが爆発的に世界に普及した原因です。世界中のサイトの分析ツールとして、UAが普及していきました。
その後、2023年7月まで、UAは、10年以上、マーケッターにとって、なくてはならないツールとなったのです。
GA4は、UAとは、そもそも開発企業が異なった、全く別物
GA4を、Googleは、Googleのアナリティクスのバージョン4として公開をしています。しかし、これは、UAが、バージョン3であったことの次世代の進化版であることを意味しません。
Googleは、2016年に、ファイアーベースアナリティクスという企業を買収しましたが、実は、GA4は、この会社が開発していたものでした。つまり、UAとGA4は、開発企業がそもそも別であり、連続性がまったくないのです。
したがって、データーの取り方や、機能もまったく異なり、UAからGA4に移行をするということは、全く別の仕組みで、マーケッターは、分析をしなければならないということなのです。したがって、UAのページビューと、GA4の表示回数を、一致させることは、そもそもできないことなのです。
この点を、しっかりと認識をし、マーケッターの方は、自分の会社に対して、報告をしなければなりません。
GA4は、そもそもアプリ開発者のための開発されている
ファイアーベースアナリティクス社の、Googleによる買収前の、GA4の前身の仕組みをみてみると判るのですが、ファイアーベースアナリティクス社は、UAとの差別化を図るため、UAとは異なる開発発想に立っていました。
UAがPCを使うマーケッターを意識してアクセス解析を行っていたのに対して、ファイアーベースアナリティクス社の分析は、主な対象を、アプリ開発者におき、技術者の立場に立った分析ツールを開発していました。
UAのページビューよりも、アクセスするデーターを絞り込んで表示回数を集計するアルゴリズムを採用しています。
これがベースになっているGA4は、UAの次のバージョンではなく、別の分析ツールだと把握して使ったほうがよいのです。
GA4の汎用性が高すぎる
そして、GA4は、開発者向けに設計されているため、UAに比較して、非常に汎用性が高くなっています。逆に、そのため、機能が多く、使いづらいと感じる方が多いのです。
機能面では、UAよりも使える部分が多いため、できるだけ早くGA4に慣れる必要がありますね。
マーケターの方は、できるだけ、早くUA時代の指標から卒業することが重要
Googleが、UAの時代に戻ることはありえません。そうだとすると、私たちは、できるだけ早くGA4に移行し、これを使いこなしていく必要があります。表示回数といった、GA4特有の概念に早くアタマを切り替え、UAとの接続性を追求するのではなく、GA4独自の使い方を編み出す努力が、ユーザーに求められていることは、間違いありません。
続く