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 コレスポンデント口座 その4

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北朝鮮 
~核開発と、金融~

第5話

 コレスポンデント口座 その4

さて、【金融制裁をかいくぐる、3つの手法】
このうち、今回は、方法3を解説しよう。

  • 方法1 
現金またはそれに代わる現金代用物を物理的に運搬する方法
  • 方法2
 地下銀行を利用して、流動性を提供する方法


  • 方法3
 仮想通貨等、いずれの政府の管理化にも属しない決済手段を使って、流動性を提供する方法



仮想通貨による送金は、金融制裁が動く中、本当に、有効な送金手段なのか?

仮想通貨は、ビットコインが誕生した際、日経新聞などのメディアで、いかなる政府もコントロールしない手法として、かなり紹介をされたため、皆さんも聞いたことがあるだろう。

実際、日本国内でも、怪しげな送金サービスを提案する資産コンサルまがいの会社が、仮想通貨を利用して、国税当局にきづかれずに、送金ができる旨の、宣伝をし、集客もしている。

フィンテックを使って、租税回避を行うと言えば、非常に素晴らしいテクニックのように聞こえる。実際、この手法に対する「素人うけ」は、とてもよい。

しかし、である。実は、この方法は、金融実務のプロは、現段階では利用していない。

結論から言えば、現在のフィンテックの状況からすれば、仮想通貨で、金融規制をかいくぐる、というのは、「SF」の世界の、想像の域を出ない手法である。

仮想通貨の弱点は、技術ではなく、流動性

世界のフィンテックの技術者たちも、一様に認める仮想通貨の弱点は、「技術」の問題ではなく、「市場」の問題である。

この市場の問題こそが、仮想通貨を、方法3で使えない理由だ。

仮想通貨は、確かに政府の干渉を受けない。

技術的に言えば、それは素晴らしいテクノロジーの生みだした技であると言える。

しかし、一方、経済学的な視点からいえば、仮想通貨は、「自由市場」におかれている。

自由市場というは、まさに、アダム・スミス流の言い方をすれば、「神の見えざる手」に委託されたものであり、価格に対する政府の操縦がきかない世界にあるのだ。

従って、仮に仮想通貨を使用した送金が、非常に安価に抑えられたとしても、政府による監視網から逃れられたとしても、情報セキュリティ上、ブロックチェーンのような画期的な手法を使ったとしても、対通貨の為替が極めて不安定になるのであれば、それは、通貨として、流動性リスクが高すぎるということ
を意味する。

そして、いずれの政府もその価値を保証しなければ、そのリスクを担保するものが何もないのである。

これが、仮想通貨を貨幣として、送金に用いることが、現実問題として出来ない理由だ。

金(ゴールド)は資源として普遍の価値を持ち、ドルは、米国という世界最強パワーが、価値を保証する。円は、日本政府が、ユーロはEUが、それぞれ、スーパーパワーとして価値を保証し、価値を維持する国際的な連携の仕組みがある。

この価値の維持というものがなければ、どんなに、ブロックチェーンが優れたテクノロジーであろうが、流動性リスクが高すぎ、通貨としては、手を出してはいけないもの、ということになろう。

これが、方法3の弱点なのだ。

さて、そうなると、金融制裁をかいくぐる、3つの手法は、実際には、方法1と方法2ということになる。

さて、お待たせ致しました!

以上のコレスポンデント口座を巡る、長い、シリーズは、前置きの基礎知識編。

次回から、この基礎知識を活用して、本題の北朝鮮の話に分け入っていくことにしよう。

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