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 コレスポンデント口座 その1

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北朝鮮 
~核開発と、金融~

第2話

 コレスポンデント口座 その1

コルレス銀行とは何か?

北朝鮮のネタから少し離れると思われるか
もしれないが、このコレスポンデント銀行
の口座(略称、コルレス口座)の仕組みが
わからないと、国際金融の基本が、まった
く理解できない。


今回は、このコルレス口座を、金融の基礎
知識として解説しよう。

国際送金の仕組みは、国内送金と、どう違うのか?

さて、普通、日本で行っている
銀行普通預金口座から、他の銀行普通預金
口座への、送金の話から、入ろう。



あなたの三井住友銀行の普通預金口座から、
A社の三菱東京UFJ銀行の普通預金口座
へ、1,000,000円を送金するとす
る。

この送金が完了すると、あなたの口座から
1,000,000円がなくなり、A社の口
座に1,000,000円が増える。これを、「送金」と僕らは呼ぶ。

しかし、
実は、金融の世界を少し知っている人は、
このとき、銀行間では、一切、おカネが動
いていないことを知っているはずだ。

日本の金融機関は、一般社団法人全国銀行
資金ネットワーク(以下、全銀ネットと呼
ぶ。)によって、結び付いている。


銀行間の送金は、まず各銀行での顧客元帳
に記帳された上、次に全銀ネットの中で、
大量な相殺が行われているのだ。

よって、僕らが「送金」と呼んでいる取引
で、現金が動くことはない。高速で帳簿が
書き換えられ、相殺操作が行われているだ
けなのだ。



では、これが、国際送金ではどうなってい
るのか?

例えば、僕が、日本の三井住友銀行から、
香港上海銀行の株式会社URVプランニン
グサポーターズの口座に、
1,000,000円を送金したとする。

香港上海銀行の口座は、香港ドル建て口座
だ。僕の口座からの出金は円、香港のUR
Vプランニングサポーターズの口座への入
金は香港ドルということになる。



これは、銀行では国際送金と呼ばれる取引
だが、国内の銀行間の送金とは、その決済
システムが全く違うのである。

世界の銀行の間には、全銀ネットのような
システムは存在しない。

そこで、この国際
送金を取り扱う、コルレス銀行が登場する。

仮に、三井住友銀行が契約するコルレス銀
行が、シティバンクだとする。

三井住友銀行は、まず、自社の契約する、
アメリカ合衆国のニューヨークにある、コ
ルレス銀行に、「SWIFT」という銀行
間国際通信ネットワークを使い、香港上海
銀行のSWIFTコードをシティバンクに
伝える。



そうすると、シティバンクは、米連邦準備
制度理事会(FRB)が運営する決済シス
テム「フェドワイヤー」を通じて、三井住
友銀行のコルレス口座から相当する米ドル
を減算する。



仮に、香港上海銀行のコルレス銀行が、
JPモルガン・チェース銀行だとしよう。

そうすると、シティバンクは、SWIFT
コードからJPモルガン・チェース銀行を
特定する。Pモルガン・チェース銀行は、
香港上海銀行のコルレス口座に、相当する
米ドルを加算するのだ。

香港上海銀行は、指定された自銀行の支店
の当該口座に、そのドルに相当する香港ド
ルを入金する。



これが、国際送金の基本原理だ。

つまり、こういうことである。

国際送金というのは、日本の三井住友銀行
と、香港の香港上海銀行との間で、日本円
と香港ドルが、帳簿上書き換えられるので
はない。

アメリカのコレス銀行の間で、ドルの口座
が書き換えられるのだ。

日本円が、香港ドルに換金されているので
はない。各国の銀行が保有する、アメリカ
合衆国ニューヨーク州ウオール街のコルレ
ス口座間で、ドル口座の残高が、書き換え
られているのだ。



従って、国際送金で、事故が起き、相手国
の銀行の当該口座に資金が振り込まれなか
った場合、その相手の銀行に調査をいれて
も、殆ど、理由がわからない。勿論、日本
の金融機関の手も離れているので、こちら
もお手上げなのである。

日本から香港に送金したつもりが、その業
務は、すべてニューヨークのコルレス銀行
の口座間で業務が超高速で行われているの
だ。



世界のすべての送金は、後の号で説明する、地下銀行などの手段の送金でない限り、その殆
どは、ニューヨークのウオール街で、集中
処理をされているというわけだ。

その時、この業務を行うのが、コルレス銀行
であり、その資金送金による帳簿の書き換えは、世界中の銀行が保有
しているコルレス口座上で行われているとい
うわけだ。

コルレス銀行の口座を停止されると、なにが起きるのか?

コルレス銀行の口座取引を、その監督国で
あるアメリカ合衆国に停止されると、自国
以外からの資金の送金、自国からの資金の
送金が全面的にストップしてしまう。

貿易決済が停止し、外国からの投資も借り
入れも、一切不可能になってしまう。



今、米中間で行われている貿易戦争どころ
ではない。すべての資金の動きが止まって
しまう。戦争すら出来なくなる。いかに、
巨大な軍事力を持っていたとしても、それ
を動かす、オイルなどの資源や食料すら、
自給自足以外に調達方法はなくなる。



現代の国家や企業にとって、資金とは、
「血液」と同じである。

血液が、身体の中で止まれば、酸素が脳に
運ばれなくなり、生命は、一瞬も維持でき
ない。

国際金融のコルレス銀行との取引が
止まれば、国家は、一日も、維持できない
のである。その国の企業は、勿論、維持で
きない。

このコルレス銀行の役割を担うことができ
るのは、国際通貨を発行している国家の政
府金融機関だけである。



資格があるのは、ユーロを発行している、
欧州中央銀行、そして円を発行している日
銀。



しかし、現実には、今の世界では、コルレ
ス銀行は、ほぼすべてが、ニューヨークの
ウオール街にある数行の銀行が独占してい
る。

シティバンクやJPモルガン・チェース銀
行が、その代表選手だ。



さて、ここまでで、コルレス口座の仕組み
と、役割をご理解いただけたと思う。



次回は、これを更に発展させ、コレス口座を
巡る、難解なマネーロンダリング事件の仕組
みの「深い森」に、徐々に歩みを進めて行く。

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